ソウルメイト -彼女のおまじないは悪!?-
「俺の能力全部、失ってもいいから…!」
未来予知できるこの特殊能力を失ったら、将来占い師になる夢を諦めなくてはならなくなるかもしれない。今引き受けている雑誌の仕事もキャンセルしなければならなくなるだろう。
それでも瑞穂は、エモリエルが生き返る選択をした。自分の力ならそれが可能だと、その能力が教えてくれたから。
瑞穂の望みは叶い、エモリエルは以前と同じ姿で蘇(よみがえ)った。瑞穂の自室に召喚されたエモリエルは、目を覚ますなりキョトンとした。
「瑞穂君、これはどういうことなのでしょう?私は一足早く天に召されたはずなのですが」
「人の許可なく勝手に召されたら迷惑なんだけど」
ぶっきらぼうに言い、瑞穂はエモリエルを抱きしめた。
「エモリエルはもう一人じゃない。俺と永愛がいる。一人消えようなんて水くさすぎるよ」
「……ただいま。瑞穂君」
「おかえり」
互いから離れ、二人は改めて向かい合った。
「しかし、将来の夢を棒に振ってまで私を蘇らせるとは……。花火大会で永愛さんに告白するつもりだったのですよ、私は。それを知っての行いですか?」
「そ、そうだったの?」
さすがに、瑞穂もうろたえた。
そう。エモリエルが永愛を花火大会に呼び出すために書いたメモの言葉。「話がある」とは、愛の告白のことだったのである。
「永愛さんはどうも私が説教をすると勘違いしていたようですから、改めて正しい内容をお伝えしなくては」
「ちょ、それは待って!?」
「私がいない間に、ひと波乱あったようですね」
「そうだよ。もう会わないって言われて……。って、そういう話じゃなくて」
動揺を隠せない瑞穂に、エモリエルは微笑した。
「永愛さんに言いましょう。私達が彼女を好きになったのは運命のいたずらであって、おまじないの影響ではないのだと」
「微妙に恥ずかしいセリフだけど、間違ってはないかな」
「正々堂々と勝負しましょう。どんな結果になっても恨みっこなしで」
「望むところだよ。その言葉、忘れないでね」
翌日、永愛は学校を休んだ。
瑞穂に別れを告げた今、学校に行く積極的な理由が見つからない。瑞穂との仲を見守ってくれたいなみとも顔を合わせづらいし、何より、エモリエルのことを思い出したばかりで気持ちが混乱していた。
仮病を使った1日は、虚しいぐらい早く過ぎ去る。夕方、ベッドにうずくまっていると、母親が部屋の扉をノックしてきた。
「永愛、お友達がお見舞いに来てくれたわよ。お話したいこともあるんだって」