「野球が俺の恋人」なんて言わせない!!
  「井上さんくわしいのね。
  言い訳に聞こえるかもしれない
  んだけど、あたしも昔は普通だった。


  あの学校に入るまではね。
  清楚で優しそうに見えてた
  先輩たちはね、すごかったわ。

  
  後輩でレギュラーを取った仔は
  相当ひどくいじめてたし、
  何より男関係がね。自分の
  目当ての男を落とすことに
  達成感感じてるような人達でね。


  自分は絶対こんな風には
  ならないって思ってたけど。


  だけどね、気付いたら自分も
  そんな風になってたのよ。


  先輩に影響されてあたし達の
  学年の女子も次々にいろんな
  男子に手を出し始めたの。


  井上さんの言うとおりで、
  邪魔になる人間はどんな手を
  使っても叩き潰してたしね。


  あたしはね、、怖かったの。
  ハブかれるコトが。だから必死で
  周りに合わせてた。


  でも、だんだんそれが普通に
  なっちゃってたの。

  
  何の抵抗も無く別に好きでもない
  男子とも何でもするようになった。


  美香はね、一番すごかったわ。
  本当に何でもした。だから、
  未来は特に危険なの。

  美香にとって未来は邪魔な人間
  以外の何者でもないから。」


  新庄さんは寂しそうに語ってくれた。
  嫌な過去だったはずなのに。


  「新庄さん、教えてくれて
  ありがとう。嫌な思いさせて
  ごめんね。でも、どうして
  未来が邪魔なんだろう?」


  それが分からない。
  未来は五十嵐さんに目をつけられる
  ようなことをしていただろうか。


  男子のことで人と衝突するようには
  見えない。ましてや、相手が悠樹以外
  の男子ならば、なおさら。
  

  
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