「野球が俺の恋人」なんて言わせない!!
  【漣side】

  攻守交代で葵中が
  攻めになった時。


  葵中のエースが
  バッターボックスに近づき
  ながら喋りかけてきた。


  「今日の市川君、いつにもまして
  すごいねぇ。いつもいる未来ちゃん
  がいないし、何かあったの?」

  妙に鼻につく喋り方だった。

  
  「何が言いたい。何でお前が
  未来のコトを知ってる?」


  「怖いねぇ。桜井君は女嫌いで
  とおってるんじゃなかったっけ。
  それとも未来ちゃんは特別?

  
  未来ちゃんのコトはね、
  美香から聞いたんだよ。


  可愛くていい仔だ、ってね。」


  何を―――?


  この男がバッターボックスに
  立つまでの短い間でその意味を
  考えてみた。


  美香って――――――。
  !!五十嵐美香か?!


  「てめぇ、、何を」


  何をたくらんでやがる、
  と言おうとしたが、続かなかった。


  完璧なスイングで悠樹の球を
  思いっきり打ち上げた。


  「近々未来ちゃんに会いたい
  と思ってるんだ。だから、
  今日の試合は勝たせてもらうよ?」


  不敵な笑みを浮かべてホームから
  走って、またホームに戻って来た。


  完璧なホームランだった。




  


  
  


  
  
  
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