「野球が俺の恋人」なんて言わせない！！
　　俺も悠樹も他の部員も
　　必死で点を取りにいった。


　　だけど、葵中は強かった。


　　特にさっきの男が。
　　谷口恭介。葵中のピッチャーで、
　　ピッチングも相当なもの。


　　負けるわけにはいかねぇんだよ。


　　未来に勝ったって言おうって
　　決めてんだよ。


　　「漣、どうした？
　　もうすぐ打順だぞ？」


　　気付いたら悠樹が前に立っていた。
　　

　　「いや、何でも無い。」


　　「焦るなよ。何とかする。」


　　驚いて悠樹の顔を見上げる。


　　「俺は一応エースだしな。
　　絶対何とかする。勝つって
　　決めただろ？？」


　　その目は誰かに似ていた。
　　優しいけど、真剣な。


　　誰だったか――――――――――？


　　考える間も無く、打順が迫っていた。


　　「あぁ。俺も点を取りに行く。
　　絶対勝つ。そうだろ？」


　　パン！悠樹と手を合わせて、
　　バッターボックスに近づく。


　　思いっきり叩きすぎだろ。。
　　手加減できない所も誰かに
　　似ていると思った。



　　谷口がマウンドから笑みを
　　向けてくる。


　　いつもなら殴り飛ばしてやる
　　ところだが、今は試合中だから
　　これで我慢してやるよ。


　　「何が来ても打ってやるぜ？」

　　

　　
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