「野球が俺の恋人」なんて言わせない!!
  【梓side】

  
  「すっげぇ。本当に取りに
  行ったな、漣の奴!!」


  市川君が興奮して言う。
  ホームランだから
  当たり前だよね。。


  それにしても、さっきまでは
  ここで苛々してたのに、
  市川君の言葉であっさり
  元気になっちゃって。


  桜井は冷たいけど、
  未来と市川君兄弟のことは
  特別に思っているみたいで。


  あたしなんかしょっちゅう
  怒鳴られているのに。


  未来はいいな、って思う。


  「漣、、お疲れ!最高だったぞ!」


  桜井がベンチに帰ってきた。


  市川君と桜井に影響されて、
  他の部員も頑張ってる。


  「ん??」


  何かが違う。よく分からないけど、
  そう思った。谷口恭介っていう
  ピッチャーのピッチングがさっきと
  何か違う。よく分からないけど。


  「新庄?どうした?」


  「気のせいかもしれないんだけど、
  さっきとピッチングが違う気が
  して。でも、本当に気のせいかも!」


  市川君はあたしの言葉を
  聞くとすぐに桜井との話を
  やめて、谷口をじっと見始めた。


  桜井も同じように。


  二人とも真剣な目になって。

  
  「なぁ、漣。気付いたか?」


  「あぁ。これは、使えるな。」



  

  


  


  


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