「野球が俺の恋人」なんて言わせない!!
  「野球の勉強頑張ったんだな。
  ありがとう、、新庄!!」


  市川君が褒めてくれた。


  そのことは嬉しいけど、


  「これは未来のおかげなの。」


  「え。。未来の??」


  「うん。前に未来がね、
  
  『どんなに上手いっていわれてる人でも
  人間なんだから弱点はあるはず!!
  中学生ならなおさらね。。相手チームを
  よく観察して勝つ方法を導くのも
  マネージャーの務め!頑張れ!!』
  って言ってたの。。


  『だからちゃんと試合をしっかり
  見てるのが大事なんだよ』って。」


  だから、違和感に気付いたのは
  あたしの力じゃない。。


  悔しいけど。


  「未来らしいな。
  『人間なんだから』とか特にな。」


  桜井が口の端だけで笑う。


  ほんの少し、楽しそうに。


  こんな男を真剣にさせられる
  未来はすごい。


  二人とも試合前に言っていた。


  『未来は見にこれないから
  せめて勝って笑わせてやりたい』


  そう言ってた。


  分かってる。敵わないんだ、未来には。


  未来の何処が特別かなんて
  分からない。普通の仔だと思う。


  だけど、殴られたときの強い目と、
  その後の優しい笑顔と、響く言葉。


  それは紛れも無く未来のもので、
  未来にしか出来ないことで。


  他の人には出来ないことで。
  だからこそ誰かの『特別』なんだって。
  
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