「野球が俺の恋人」なんて言わせない!!
  柊の言葉にしばらく沈黙が
  流れた。

  それが、ずっと気がかり
  だった。

  「違う。」

  しばらくして、悠樹がはっきりと
  言い切った。


  「未来はこんなくだらない噂
  を流すような奴じゃない。
  そう思うだろ???」

  悠樹の迫力に驚きつつ、


  「そーだな。ありえねぇよな。」


  「うん。あったとしても、何か
  理由があるはずだしね。」


  悠樹の意見に俺も柊も賛成した。


  「じゃあ、本人に聞きに行くか?」


  俺は提案したが、その前に二人とも
  もうすでに席を立っていた。


  ・・・・・・・・・・。
  俺だけ頭の回転鈍いのか?
  それともこいつらの決断が早すぎる
  だけなのか?


  そんなことを考えながらとりあえず
  俺たちは校内を走って未来を探した。


  「桜井!悠樹!柊!!」


  後ろから切羽詰った声で
  呼び止められた。


  「おい、井上!こっちは忙しい
  んだよ。大した用じゃないなら」


  「未来何処にいるの?!」


  俺が最後まで言い切らないうちに
  井上がそう言った。


  「はぁ?!今の時間は新庄と
  野球の勉強中だろーが。まだ
  昼休みなんだし。大体、俺等が
  居場所なんて知るわけねぇだろ。
  今までずっとさぼってたんだぞ。」


  
  


  

  
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