「野球が俺の恋人」なんて言わせない!!
  部活も終わって帰ろうと
  した時、誰かに腕をつかまれた。


  そのはずみであたしは、
  階段から落ちそうになった。


  「危なっ――――――――!」


  落ちると思ったけど、誰かが
  受け止めてくれた。


  「・・・・・・大丈夫か?」 


  ビックリした。『大丈夫か?』
  そう聞く声は紛れも無く漣の声で。


  何でまだこんなことを言ってくれる
  のだろうと思って。

 
  嬉しくて、悲しくなった。


  「うん。ありがとう。」


  そう言ってその場から立ち去ろうと
  したけど、動けなかった。


  「離して欲しいんだけど。」


  「渡したいものがあるって
  言っただろうが。俺が持ってても
  しょうがねぇし、受け取れ。
  それが終わったらちゃんと離す。」


  そう言って、後ろからあたしの首に
  アンティーク調の鍵のネックレス
  をかけた。あたしは困惑してた。
  

  「これは・・・・・・?」


  「あのガラスケースの鍵だよ。
  このネックレスとガラスケースで
  二つ揃って初めて使えるんだよ。
  鍵かかってただろうが、、あれ。
  
  お前のことだから、そういうものもの
  だとか思って、気にもとめなかったん   
  だろうがな。俺が持っててもどうしようも
  ねぇし、持ってろ。拒否権はねぇぞ。」


  確かにガラスケースには鍵が
  かかってた。こうやって飾っておく
  ものだと思ってた。だから、鍵で
  開けるなんて思いもしなかったんだ。


  「ありがと。嬉しい。」


  「別に。それはお前の誕生日の
  時に選んだ奴だからな。お前の
  誕生日が今だったら絶対渡してねぇよ。」


  !!そっか。そうだったね。 
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