「野球が俺の恋人」なんて言わせない!!
  「お前、本気で、嫌だと
  思ってたか?俺がゲイなこと。」


  だから、その問いにも。
  こうとしか答えられないんだ。


  「ごめん。」


  漣はあたしを離して、あたしの
  横を通り過ぎて、階段を下りていった。


  漣の目は冷たかった。
  冷え切ってた。


  漣の目にあたしはもう映らないの
  だろう。初めて出会った時のように。
  どうでもいい他人として、あたしの
  存在は漣の中から消えるんだ。


  そう分かってたから、『ごめん』
  と答えた。漣の中からあたしが
  いなくなるように。


  本当はね、、昨日の朝女子に
  囲まれて質問攻めにされた時
  何が起こってるかよくわかって
  なかった。


  漣が悠樹を好きっていうのは
  友達としてってことで聞いてるん
  だと思ってた。もちろん、柊の
  ことも。


  『ちょっと、って思う時も
  ある』って言ったのは、
  あまりにも柊と悠樹が仲いい
  から、ヤキモチ焼いてただけだよ。


  漣がゲイなのが嫌だとか
  そんなんじゃないんだよ。


  もう届かないけれど。


  漣、あたしは、漣のこと
  気持ち悪いなんて思わなかったよ。


  いいなぁって思ったんだよ。


  悠樹のコト愛してるんだって
  すごく伝わってきたから。


  自分もこんな風に想えているかなぁ
  って思ったんだ。


  いっぱい傷付けてごめんね。


  


  
  
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