「野球が俺の恋人」なんて言わせない!!
  「まず、漣のこと。
  未来は悠樹に怒ってたんだよな?
  だったら何で、漣まで傷付ける
  必要があったんだ??」


  「それは、悠樹にゲイ疑惑を
  掛けるための相手役にするため
  なんじゃないの???」


  「悠樹にゲイ疑惑を掛けたいなら
  相手役は俺一人でもよかったはず
  なんだ。なのに俺も漣も相手役。
  
  未来は漣と誰よりも仲が良かったし、
  何より漣は未来に心を許してるみたい
  だった。未来が漣がゲイだと知って
  いたとしたら??というか間違いなく
  知っていたんじゃないのか?」


  友華が弾かれたように俺の方を
  見る。次いで、驚きが混じった声で
  一つ一つ整理し始めた。


  「そうね。未来が知っていたと
  したら、悠樹を傷付けたい為だけに
  桜井のことを言うなんてありえないわ。


  柊の場合は実際ゲイじゃないから
  噂を流されても笑い飛ばしてやれば
  済むことだし、心のダメージもまだ
  小さい。


  だけど、桜井は実際そうだから
  噂を流されたら嫌な思いをする
  わ、、すごく。


  未来がそれに気付かないハズ
  ないもの。桜井のことを知って
  いたなら絶対こんな噂を流す
  わけないわ。そうでしょ?」


  「これは・・・・・。
  漣に聞いてみる必要があるね。」


  友華が深刻な顔で頷く。


  「桜井が『未来は知らなかった』と
  言えば、未来はそうと知らずに
  噂を流したことになる。


  だけど、『未来は知ってた』と
  桜井が言ったら――――。」


  その後は俺も友華も何も
  言わなかった。


  期待は勝手に大きくなる。
  期待を踏み潰されたときの痛みも
  その分大きくなるのだと知りながら。


  
  
    

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