「野球が俺の恋人」なんて言わせない！！

　　・・・・ひどいよ。


　　悠樹はひどい。最悪な女を演じて、
　　もう二度と近寄る気が失せるように
　　頑張ったのに、何で謝るの？


　　『最悪』って思ってくれなきゃ
　　駄目なんだよ。こんな時まで
　　優しくされるなんて嫌なんだよ。

　　
　　どうせ一緒にいられないなら、
　　冷たく突き放してくれればいい。


　　未練が残るのは悲しいから。

　　
　　普通は謝らないよ。怒るんだよ。


　　でも、もういい加減悠樹への
　　気持ちだけは真実を言っても
　　いいかなって思った。


　　ずっと好きだったよって。
　　それはすごく幸せだったよって。


　　「謝らないで？？何も悪くないから。
　　悠樹のｺﾄ好きになって幸せだったよ。
　　悠樹のｺﾄ嫌いになんてならないよ。」


　　悠樹は驚いていた。


　　「じゃあ、何であんなことを？！」

　　「分からない。」

　　「分からない、で漣と柊を
　　巻き込んだのか？！」


　　柊と漣を巻き込んだこと、そのことは
　　すごく怒ってるんだよね？


　　柊と漣と悠樹と三人じゃなきゃ
　　駄目だったんだよ。


　　巻き込んだんじゃない、最初から
　　三人ともって予定だったんだ。


　　「美香みたいに生きてみたく
　　なったの。他人を顧みることなく
　　誰かを一途に愛さない生き方。」

　　
　　嘲笑を浴びせるように言う。