「野球が俺の恋人」なんて言わせない!!
  谷口が倒れている人の
  髪の毛をそっと手でどかす。


  見えた顔は俺達が探していた
  未来だった。


  「未来・・・・・・・・!」


  誰かが悲痛な声を上げる。


  俺達はゆっくり未来に近づく。


  未来の体にはたくさんの痣が
  あった。


  誰かの涙が未来の頬を伝った。


  「どうしてこんなことに
  なったんだ・・・・・?」


  俺達は何も分かっていなかった
  んだな。。


  ずっとお前一人で抱えて。


  なぁ、、お前はどうしてそんなに
  強いんだ?


  どうして俺達に一言も言っては
  くれなかったんだ?


  「どうして・・なんだ・・?」


  どうして俺は自分の大切な
  幼馴染一人守れやしないんだ?


  「未来・・・・・・・。」


  名前を呼ぶ。長い間呼んでいなかった
  その名前を。


  お前はまた『悠樹』と呼んでくれるか?


  俺達の元に戻ってきてくれるか?


  もう俺達は。俺は。

  
  お前がいないと駄目なんだよ。
  隣で笑っていてほしいんだよ。


  
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