王女・ヴェロニカ
「グーレース! ぼく、頑張ったよ!」
「王子、ご立派でしたぞ」
「ねえさまとマイク、喜んでくれるかな?」
「勿論です」

 (ヴェロニカさまとマイク……何があった?)
 何か不測の事態に陥ったことは間違いないだろう。
(命があれば、それでよい……)
 町の入り口に設けられた物見櫓に上ってじっと立つグーレースの視界に、黒い点が二つ飛び込んできた。
 二頭の馬だ。まっすぐこちらへ駆けてくる。
「お、おお……」
「ただいま、グーレース!」
「遅くなった!」
 おかえりなさいませ、とグーレースは満面の笑みで二人を出迎えた。
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