王女・ヴェロニカ
 手渡された薬は苦い。だが、効果があるのがわかっているので、一気に喉に流し込む。
「助かった……。ってヴェロニカ? お前、何やってんだ?」
 ヴェロニカは、マイクのベッドに横になっている。
「変態王子が来たら追い払ってあげる。だから一緒に寝よう?」
 断る元気は、今のマイクにはなかった。ヴェロニカに導かれるままベッドに横になる。
「……昔は良く、こうやって一緒に寝てたよね」
「おう、懐かしいな……」
「えへへ、マイク……もうわたしの前から姿を消さないで……」
「……え?」
 幼子が甘えるように、ヴェロニカがマイクにくっついた。
 ヴェロニカの体温と鼓動が心地よい。
(はー……俺、寝られっかな……)
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