王女・ヴェロニカ
ヴェロニカは、いつの間にか寝入ってしまったマイクを背負って、納屋へと向かっていた。
「うー……重たい……」
捨てたい。だが、捨てるわけにはいかない。絶対に。
相当疲れているのだろう、かなり乱暴に運んでもマイクは目を覚まさないし、端正な顔に疲労の色が濃い。
「師匠の安らげる場所を守るのは、弟子の仕事……。こんなにマイクを傷つけたあいつら、絶対に許さない……」
ヴェロニカの目は母屋に注がれるが、棍を取り上げられた今、単身乗り込んでいっても勝ち目はない。
「どうしたものか……」
ヴェロニカがため息をついていると、納屋の扉が外から控えめにノックされた。
「誰……?」
「あの、お嬢ちゃんの武器だけどね、大広間入ってすぐのテーブルの上に動かしておいた。さすがに持ち出せなくてさ」
女性の声だ。さっき竹の棒を投げてくれた人だろう。
「それから、二人の馬は、指笛で戻ってくる子たちかい?」
「え、うん。呼べばすぐに来る」
「じゃあ、厩から放しておくからね。荷物も馬につけておくからね、一日も早く逃げるんだよ!」
ありがとう、とヴェロニカが納屋から顔を出したとき、すでに女性の姿はなかった。
「うー……重たい……」
捨てたい。だが、捨てるわけにはいかない。絶対に。
相当疲れているのだろう、かなり乱暴に運んでもマイクは目を覚まさないし、端正な顔に疲労の色が濃い。
「師匠の安らげる場所を守るのは、弟子の仕事……。こんなにマイクを傷つけたあいつら、絶対に許さない……」
ヴェロニカの目は母屋に注がれるが、棍を取り上げられた今、単身乗り込んでいっても勝ち目はない。
「どうしたものか……」
ヴェロニカがため息をついていると、納屋の扉が外から控えめにノックされた。
「誰……?」
「あの、お嬢ちゃんの武器だけどね、大広間入ってすぐのテーブルの上に動かしておいた。さすがに持ち出せなくてさ」
女性の声だ。さっき竹の棒を投げてくれた人だろう。
「それから、二人の馬は、指笛で戻ってくる子たちかい?」
「え、うん。呼べばすぐに来る」
「じゃあ、厩から放しておくからね。荷物も馬につけておくからね、一日も早く逃げるんだよ!」
ありがとう、とヴェロニカが納屋から顔を出したとき、すでに女性の姿はなかった。