一生片想い
私もグイッとお茶を飲み干すと一言。
「暑さには勝てないっす」
國嶋は満足気に笑うと呆れたように笑った相沢さんと談笑を始めた。
私はなんだかんだで仲の良い、この雰囲気が大好きだ。
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この日は少ないながらも常連さんに来ていただいたりと、そこそこでお店をしめた。
相沢さんは喫茶店の二階に住んでいるため、私と國嶋が夜帰るべく店を出た。
「お疲れ様~また明日ね」
「おう」
「お疲れ様です」
私と國嶋は同じマンションに住んでいるから、二人で方を並べて歩く。
あ、勿論同じ部屋ではない。
「…なあ。七菜は、さ。相沢のことどう思う?」
いつもながらのふざけた感じではなく真剣な眼差しに少し戸惑いつつ、急だね、とだけ返した。
「急だな。けどさ、俺、やっぱ相沢は七菜のことそうとう気に入ってると思うんだよな」
「……」
気まずそうに目を剃らしながらもハッキリ言った國嶋。
「だから、七菜は…どう思ってんのかなって」
「…良い人だとは思う。…けど、それ以上もそれ以下もない。私からしたら、仕事の先輩ってだけだから」
冷たい言い方なのかもしれない。
けど、本当のことしか…偽りを國嶋に言いたくなかった。
「…そうか。相変わらず、だな」
「ごめんね。でも、今の職場も雰囲気も好きだから壊すつもりはないよ」
そう言った私に國嶋は悲しげに笑うとポン、と私の頭を撫でた。
「まだ…アイツが好きなんだな…」
消え入りそうな声で呟いた國嶋の声は…聞こえないフリをして。