クールな溺愛彼氏様⁉︎
「え・・・?」
「でも、彼はなにも言わなかった。それって、その程度ってことじゃないの?」
「ちがっ!彼は、気づいてなかっただけで」
「気づいてたよ。俺、目あったもん」
「え・・・」
心が乱される、
でも、もともと椋平は感情をあらわにする方じゃないし。
人とのいざこざを嫌う人だもん。
わざわざ声をかけに行ったりなんてしない。
「・・・噂をすれば」
「え?」
視線を向けると、少し先にある椋平の職場から人がちらほら出てくるのが見えた。
その中に、椋平の姿も見つける。
ちょっと待って、やだ。
こんな、男の人と二人でいる所なんて見られたくない。
戸惑っていると、椋平がこっちを見る。
遠目だけど、私たちを見たのがわかった。
絶望に打ちひしがれ逃げ出したくなる気持ちでいっぱいになる。
どうしよう、なんて説明したら・・・。
思わずかけよろうとした時、椋平はフイッと視線をそらし歩いて行ってしまった。