クールな溺愛彼氏様⁉︎
「あ・・・、これ、私の・・・?」
ハンカチの端に自分で刺繍したイニシャルが書いてある。
不恰好なこの刺繍は、紛れもなく私のもの。
「未侑の?」
「う、うん・・・。でも、これ・・・」
椋平が私の手元を覗き込む。
「あの、これ、どこで・・・あれ?」
尋ねようと顔をあげたら、そこにはもう彼はいなくなっていた。
辺りを探したけど、それらしき人はもういなくて。
いつの間にいなくなったんだろう・・・。
「どうした?」
「え?あ、ううん・・・。これ、失くしたと思ってたんだけど・・・。もしかしてカバンの奥に入ってたのかな?それで落としたのかも」
私は首をかしげながらそのハンカチをかばんにしまい、椋平に笑って見せた。
確かに、このハンカチは私のものだけど、前出かけた時に落としてしまったと思ってた。
あの時、鞄の中もちゃんと見たはずなんだけどな・・・。
お気に入りのハンカチだったから、ちゃんと探したうえでなかったと思ったのに。
ま、あったならいいか・・・。