クールな溺愛彼氏様⁉︎
「つかれたー」
今日もラストまでのシフト。
今日は最後までお客さんが入っていて、その人たちがなかなか帰ってくれず終わりが伸びてしまった。
そういう事はたまにある。
あまりしつこく追い出すこともできないし。
今日のお客さんはしつこい方のお客さんだった。
最寄りの駅で電車を降りるととぼとぼと歩く。
通り慣れたいつもの道。
アパートに近づくにつれ街灯は乏しくなり薄暗い。
初めの頃こそ怖かったが、慣れてしまえば、平気になる。
疲れていて、椋平に連絡もしなかった。
ラストまでのシフトの時にはいつもメールしてたのに。
そう思って携帯を取り出す。
今からでも連絡しよう。
歩きスマホはいけない、そう思いつつ携帯を取り出したところでふと、周りの音が気になった。
コツコツ・・・
私のヒールの音以外に、もう一つ足音が聞こえる。
帰り道が一緒になることは確かにあるし、気にはしていなかったけど、携帯を取り出すために立ち止まったと同時に、その足音も消えた。
ふ、と恐怖がよぎる。
考えすぎな気もして携帯を握りしめ歩き出す。
すると、後ろから聞こえる足音も再び音を立てた。