クールな溺愛彼氏様⁉︎
「火傷は、どうだって?」
「10日から2週間くらいで完全に治るって・・・」
「そうか。右手だから、不便だな」
「・・・うん」
落ち着いた私の身体を離し、椋平は両手で私の涙を拭ってくれる。
きっと、かなり不細工な顔をしていることだろう。
「・・・俺んち来るか?」
「え?」
「片手じゃ、生活しにくいだろ?どうせバイトもしばらく休むんじゃないのか?」
「うん・・・そうだけど」
「ほら鍵。今日も遅くなりそうだから、鍵かけて待ってろ。チャイム鳴らすから、確認して鍵をあけろよ」
鍵を渡された私は、椋平を見上げる。
本気の顔だ。
椋平が、優しい。
「椋平が、優しい」
「は?俺はいつでも優しいだろ」
「・・・いつもは、わかりにくいのに」
「じゃあ、返せ」
「い、いや!」
差し出された手から逃れるように鍵を持った左手を掲げた。
椋平は、笑って肩を竦める。