私にモテ期がやってきた
私、佐伯智美(サエキ トモミ)。もうすぐ高校2年生。

家族は市役所に勤めている父と、スーパーでパートをしている母。
そして、3歳上の姉·裕美(ヒロミ)と、2歳上の兄·啓太(ケイタ)の5人家族。
この春休みが終わると、姉は短大2年生、兄は大学1年生になる。

部屋へ戻った私は、お父さんから貰った2万円を財布に入れると、お気に入りのカットソーとショートパンツに着替えた。
そして、いつもはポニーテールにしている肩より少し伸びた髪を、今日はハーフアップにしてシュシュで結んだ。
軽くファンデーションとリップを塗る。
ハンカチ·ティッシュ·財布·手帳·化粧ポーチ·ケータイをバックに入れると、ジャケットを着た。
それから、鏡で全身をチェックした。

意識して大人っぽくしているのは、兄の啓太が言うように、これからデートだから。

相手は、兄の親友の藤本大和(フジモト ヤマト)先輩。
高校に入学してからの兄の友人で、私は中学のときから大和先輩の存在を知っていた。
私が兄と同じ高校に進学したのは、大和先輩がいたから。

兄と同じバスケ部に所属していた大和先輩は、イケメンで背が高く、とてもモテていた。
だけど、特定の彼女はいなかったらしい。

私が入学すると、すぐに兄と大和先輩に「バスケ部のマネージャーをやってくれないか?」と頼まれた。

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