私にモテ期がやってきた
しばらく私を見つめていた杉田が、思い出したように、
「あぁ、菊地に聞いたのか?」と呟く。

それに対してくるみも、
「あと、里菜からも聞いたよ」と答えた。

「そっか。松浦は、里菜と同じクラスだもんな。
それに、お前たち4人、けっこう一緒にいるもんな」
杉田が納得したように頷きながら言う。
そして、独り言のように続ける。

「中学の時は、周りが見えてなくて、流されて近野と付き合う形になってしまったけど、今度は大丈夫だ。
あの時は、里菜を傷つけてしまったから。
今は彼女はいないけど、近野のことを好きじゃないに、安易に付き合ったりしたら、今度は近野を傷つけるから」

杉田のその言葉に、私はくるみと顔を見合わせた。
その当時のこと、杉田はかなり後悔しているみたいだ。
だから、大丈夫だろう。

「…そうそう。
これは聞いたかどうか分からないけど、俺と別れたあとに近野が付き合ったのが高橋だから」

杉田の言葉に、私とくるみは、今度は高橋くんを見た。
森野キャプテンも高橋くんを見つめて、
「…マジかよ」
と呟いている。

その高橋くんは、
「…ちょっと杉田先輩。
ここでそれを言うのは卑怯じゃないですか?
それとも…牽制のつもりですか?」
訳の分からないことを言い出した。

「いや、事実を言っただけだろう」
杉田は涼しい顔で答える。

そうしているうちに交差点につき、それぞれの道へと分かれて行った。




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