あの子が知らない君を見ていたい
プルルル プルルル
5時間目と6時間目の間、私の携帯が教室の一角に鳴り響く。
話していた友達に謝り電話に出る。
「はーい」
「あっ、もしもし?」
このチャラチャラした声って一人しか知ってる人いないし。
「何?」
「相変わらず冷たい声だなーw」
彼の名前は奔馬 大希 (ほんま だいき )。私とあいつの幼馴染み。
だいきと私は小学校2年生から小学校5年生までずっと同じクラスだった。
最初は、「また同じクラスかよー」と2人揃って言っていた。
そんな言い合いをしているうちに、出席番号もだいたい前後で仲良くなっていった。
だいきとは9年ほどの 付き合いになる。
「あんなー、強汰のことなんだけどさ」
あいつの話かー。
今は、あいつのこと話したくないんだけどな。
大希から電話してくるときは毎回長くなる。
今日もきっと長くなるんだろうな。
そう思い授業が始まる3分前、電話片手に教室を出た。
6時間目はサボりだな。w
「で、何?」
大希と電話しながら、普段人がほとんど来ない第2保健室に向かう。
「強汰ってさ、好きな人いる!?」
…なんで、私に聞くかな。
あいつ、大希に十森さんが好きって教えてないの?
大希に言わなくて、どうして私にいってくるの?
ほんと意味わかんない。
「…しらない。私に聞かないでよ」
「えっ!?知らないの!?」
えっなに!?
何でそんなに驚いた声!?
「瑠唯(るい)さー、今日暇!?」
瑠唯…私の名前。
呼ばれるの懐かしいなー。
手が勝手に動き携帯と耳が離れる。
ふと小さい頃の記憶が頭をよぎった。
その記憶は、大希、あいつ、私。
3人で魚釣りしてる小5の時の記憶。
どうして、今思い出すかな。
「おーい、聞こえてる?」
あっ、大希と電話の途中だったの忘れて。
急いで携帯をもう一度耳に当てしゃべる。
「あっ、ひ、暇だよ?」
「おう!じゃあ、放課後付き合ってくんね?」
なんだろう?
買い物かな?
「うん、いいけど」
「じゃあ、また放課後に」そう言って大希が電話を切った。
保健室につく前に電話終わったし結構早かったな。
これなら授業出れてかも…
「まぁいっかw」
やっとついた保健室の扉を開けた。