The universe privateer
宇宙私掠者
最早一切の余地はなかった。

右掌を広げ、向ける。

そこから放たれた光線により、一撃で相手は消し飛ばされた。

高温の熱線。

体内を巡る熱エネルギーを放出する技術だった。

その様子を見ながら。

「やっぱり凄いな…ウラヌス兄さんは」

長い黒髪を後ろで括った一人の青年が呟く。

衝撃に強い超質ラバーと呼ばれる特殊な素材で出来たプロテクター、タイツ生地のアンダースーツ、特殊ラバー製の手袋とブーツを併用した戦闘ジャケット。

見るからに兵士然とした出で立ちだ。

自分と同じ服装の青年を肩越しに見つめ。

「フン」

逆立った黒髪の男は鼻を鳴らした。

「おべっかなんぞ言ってる暇があったら、生き残りがもういないか探して回れ、マーズ」

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