誰にも内緒の溺愛旦那様
「………こ、ここです」
「は!?めっちゃ大きい家じゃん!ひょっとして、お嬢様?」
「いえ、ただの家です。空っぽで……あたししかいない淋しい家です」
「お母さんは?」
「国際弁護士で、世界中を飛び回ってます。たまにしか帰ってこないので……」
「お父さんも、弁護士さんなの?」
「父は…医者です。父ともほとんど会えてませんから………
ありがとうございました、美味しかったです」
ああ、これで終わる。
夢のような時間が、終わる。
おとぎ話だったらよかったのに。
あたしがどっかのお姫様で、
鳴海さんが、あたしを助け出してくれる、光のような王子様だったらよかったのに────────。