誰にも内緒の溺愛旦那様
「もう帰ろう」
「……はい」
いきなりだった。
ほんとはまだ、帰りたくない…。
けど、言えなかった。
帰りの車の中。
「柚…明日、少し遅くなる。早朝から撮影があってさ、もしかしたら間に合うかもだけど」
「無理しなくても、いいですよ。
今日は楽しかったから……こんな幸せが続いたら、なんか申し訳が……」
「申し訳って。
絶対、声は聞きたいし、顔も見たいから。家で待っててよ」
「…はいっ」
「あ、見えた見えた」
まもなく終わる、楽しい時間。
「じゃあね、柚」
「おやすみなさい、鳴海さん」