強引上司の溺愛トラップ

その日のお昼休憩では、私はいつもの食堂で、相変わらずの時間帯にお弁当を広げていた。そして同じく相変わらずの時間帯に食堂に上がってきた課長が定食を食べながら目の前に座っている。辺りに私たち以外に食事をしている人は、今日もほとんどいない。ただ今日は、午前中の仕事が立て込んでいたため、一島くんも私のとなりでカレーを食べている。

課長が私たちの正面に座った瞬間、私と一島くんは、課長の今朝の発言について言及した。


一島くんは、単なる興味本位だったのかもしれない。
でも、私は……。

私は、そういうんじゃなくて。



だって、課長のことが好きなんだもん。彼女じゃないけど……でも、両想い、だし……。




許嫁がいるなら何で私に何も話してくれなかったの? いつかはその人と結婚するってこと? そうだとしたら、私は一体何なの?




となりに一島くんがいるし、私は不安で泣きそうになる気持ちを必死で抑えた。

一方、当の課長は何てことない様子で、いつも通りのクールな表情とクールな声のトーンで答える。


「お前らが思ってるようなもんじゃないって」



ん? どういうこと?
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