強引上司の溺愛トラップ
「佐菜?」

早太くんは私の名前をそう呼びながらも、大きな右手で私の頭をポンポンと撫でてくれる。その温もりにも、やっぱり安心した。


「……今までちゃんと恋愛してこなかったから、どうしたらいいか分からないんだよ」

「え?」

「相手の男の人も、私のこと想ってくれているはずだけど、私がまだ自分の気持ち伝えていないから、こんな風に不安になるのかも」


そうだよ。もっと早く勇気を出して「好き」ってちゃんと伝えていれば、こんなふうにモヤモヤすることはきっとなかった。


なにより、課長だって私からの返事を欲しがってくれていたのだし。


勇気がなくて、ちょっとしたことで恥ずかしがって、うじうじして。私、自分のことばかりで相手の気持ちを全然考えられていないのかな?と不安になったりする。

だけど、そんな私の心を見透かしたかのように早太くんは言う。

「佐菜はいい子だよ」

そして、またポンポンと頭を撫でてくれる。

何だか、涙が出そうになる。


すると、早太くんは続ける。


「でも、せっかくだから、ちょっと彼を試してみようか」

「え?」
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