強引上司の溺愛トラップ
「……は?」
咳き込みながら、思わず課長を睨み付けてしまった。
だ、だって真昼間だもの。それに、社員食堂だし!! いつものごとく、周りには誰もいないけど!
正面に座る課長は、普段通りのクールな表情で話を続ける。
「お前も俺の事好きだって言った。あれから二週間も経った。何か問題あるか?」
「あります。まだ早いです」
「早くねぇだろ!!」
「そうやってすぐに怒るのやめてくださいよ!」
ここ最近は、私も課長に対して随分と自分の意見をハッキリ言えるようになってきた気がする。まあ、強引で無茶苦茶なことを言う課長に対して、ただ言い返してるだけ、とも言えなくはない気がするけど……。
「せっかく時々泊まりに来てくれるようになったのに、ヤらずにとなりでスヤスヤ寝られたら、もういい加減限界なんだよ」
「それでもいいから泊まりに来いって言ったのは課長ですよね?」
「……よくさ、『寝顔が可愛い』って言葉、耳にするじゃん。俺、今まで付き合ってきた彼女の寝顔見て可愛いと思ったことなかったんだよな。寝顔だから何?みたいな。性欲も、そこまで強い方じゃないと思ってたし。だから、一緒に寝ても大丈夫だと思ったんだよ。でも、ダメだった。お前の寝顔は可愛いと思ったし、正直、寝てるお前に襲いかかりたいとか思った」
「……っ!」
「本気で人を好きになるとこうなるんだな」
う、うれしいよ、もちろん。そう言ってもらえることは、最高に幸せなことだ。
だって私も、本気で課長のことが好きだもの。