強引上司の溺愛トラップ
「まずは、自分の理想のシチュエーションを想像することが大事だと思うわ。そして、現実がそれに近い状況になったら、自然と気持ちがその方向へ向かうものだと思うの」

目の前で、優しい笑顔でそうアドバイスしてくれるのは……何と、千鈴さんだった。


千鈴さんは、私の強力な、いや強力すぎる恋のライバル……の、はずだった。



でも、あの日の夜。課長と千鈴さんがキスをした、あの後。課長は私を追いかけてきてくれる前に、千鈴さんにハッキリ言ってくれたらしい。『本気で好きな奴がいる。お前のことは幼馴染みとしては好きだけど、恋愛って意味では好きじゃない』と。


課長との縁談があった時点で、千鈴さんは既に課長のことを実は気にしていたらしいけど、「恋愛は男性からアプローチしてもらいたい」という気持ちがあった彼女は、自分を追ってこない課長のことは忘れようと、前から考えていた海外への留学を決意したらしい。
でも、海外で暮らすことに慣れてからしばらくしたころ、課長にアプローチしなかったことを、凄く後悔したらしい。
だから、もし自分が日本に帰った時に、課長がまだ結婚していなかったら、その時は自分から積極的にアタックしようと決めていたらしい。

だけど、結果的にフラれてしまい、人生で初めて男性にフラれた千鈴さんは、翌日、セオリー通り、髪を切りに美容院へ行ったらしい。


……で、そこで出会った美容師さんにひと目惚れをしたらしい。
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