強引上司の溺愛トラップ
そこからは、その美容師さんにアタックする日々が続いているらしく、課長と私が付き合っていることを知った千鈴さんは、たまに私を尋ねにお店に来たり、今みたいに夕食に誘ってくれたりしながら、私の恋を応援してくれている。

……失恋の痛みをアッサリ忘れられるほど一瞬で好きになってしまったその美容師さんって、一体どんな人なんだろう。千鈴さんほどの美人がひと目惚れするくらいだし、きっとよっぽどカッコイイんだろう。


「理想のシチュエーション……。そうですね、それは大事ですね」

千鈴さんの言葉に頷きながら私がそう言うと、彼女も満足気ににこっと笑った。


「彼のことが好きすぎて不安になるなら、プレゼントもいいかもしれないわね。そういうのは露骨すぎてちょっと……とか思うかもしれないけど、さり気ないプレゼントならいいと思うの」

「なるほど」

さり気ないプレゼント……お菓子とかかな。課長が甘いもの食べてるとこあんまり見たことないけど。でも、今度何か考えてみようかな。


いろいろ為になる話を聞けたところで、千鈴さんとのふたりきりの女子会はお開きとなった。まさか、元恋敵とこんなに仲良くなれるなんて思わなかったけど、とても楽しい時間だった。




帰宅すると、お父さんはまだ仕事から帰っていなくて、お母さんはお風呂に入っていたため、神くんがひとり、リビングでテレビを観ていた。


「おー、佐菜お帰り。電話くれれば迎えに行ったのに」
< 147 / 179 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop