強引上司の溺愛トラップ
「幸せだな」

と、課長がドライヤーを切るのとほぼ同時に呟いた。


「え、何がですか?」

「何だよ。俺だけ?」

「い、いえ、そうじゃなくて。わ、私も同じことを考えていました。で、でも私は課長に髪を乾かしてもらって、心地よくて幸せだなって」

「俺はお前の髪を乾かすのが幸せだよ。だって、他の男はこんなことしないだろ」

満足気にそう言うと、課長はドライヤーのコードをコンセントから引き抜いた。


あ、そうか。
課長は他の女の人の髪の毛を乾かしたりしない。
そのことに対しても、きっと幸せに感じていたんだろうな。




……何だろう、何か……。





ぎゅ、って、してもらいたい……。







「どうした?」

課長が私のとなりに座り直して、私の顔を覗き込む。


目と目が合うと、心臓がドクンと脈打って、顔がカッと熱くなった。



でも……




課長に触れたい気持ちも、強くて……。





「佐菜?」

私は、熱くなりすぎてる顔を、課長の肩に埋め、ぎゅ……と抱きついた。
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