強引上司の溺愛トラップ
花嫁さんがブーケトスをするということで、若い女性の方たちがソワソワと席を立ち始める。


「あれ？　ナベちゃん行かないの？」

「え、行きませんよ。だって私、新婦さん側の招待客じゃないですし」

係長の言葉に、私は席に座ったままそう答える。今日ここに来ている若い女性のほとんどが新婦さんの招待客だから、自然と、ブーケトスを待っている女性たちは、新婦さんのお友だちが大半だ。


「えー、もったいない。ていうか、新婦さん側の招待客とか、そういうの関係あるんでしたっけ、課長？」

「さあ、よく知らんけど。行ってきたら？」

課長と係長が両側から私をつついてくる。


「い、行きませんてばっ」

「えー、渡辺さん、行かないんですか？」

「だから行かな……って……」


うわぁ!?と、私と課長と係長の大声が重なる。
だって、ビックリしてしまった。本日の主役であるはずの一島くんが、いつの間にか私たちの後ろにいたのだから。
< 169 / 179 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop