強引上司の溺愛トラップ
二十分後。

お母さんと一緒に用意した夕飯がテーブルにずらりと並び、皆でそれを食べ始める。


お皿の数は、当然いつもより多い。

お父さんはいつも帰りが二十一時過ぎになるから、お父さんの分はテーブルには並んでいないのだけれど。



「早太も日路もよく食べるし、夕飯の支度大変だったぁ」

お母さんが、首をぐるぐる回してそう言った 。


すると、その様子を見ながら神くんが。

「そうだぞ、お前ら。お盆や年末でしっかり家に帰ってくるのは確かに偉いが、そうなるとご飯の用意がそれはそれは大変になるんだからな」

と、キリッとした表情で、早太くんと日路くんに言った。


が、お母さんがすかさず、

「アンタは! 偉そうなこと言うんならご飯作るの手伝いなさいよ! 一日中DVD観てさぁ。そもそもアンタはほんとに家事をやってくれないんだから。この家に住むんならね、少しは家のこと手伝いな。子どもじゃないんだから」

「いや、休日は仕事の疲れを取るためにある。休日に家事を手伝うのは体の疲れを取るのに効率的じゃない」

「何が効率よ。佐菜は休日も平日も毎日色々やってくれてるわよっ。全く、兄妹でどうしてこうも違うんだか」

お母さんはそう言い終わると、大きな溜め息を吐いた。
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