強引上司の溺愛トラップ
課長のお家におじゃますると、私はさっそく、使っていない花瓶にブーケの花を生けて水を足し、リビングに飾らせてもらった。


「やっぱり可愛い。お花を飾ると、お部屋の雰囲気も変わりますね」

「ああ」

「でも、課長のお家にしては大分ファンシーになってしまいまいしたが」

「ああ」

「?」

課長の様子が何だかおかしい。ソファに座った状態で何やらソワソワしているし、私の方を見ないし、返事も上の空って感じだ。何だ?どうしたんだろう?


「課長?」

「ああ……」

「おトイレはあちらですよ」

「うん……」

ツッコミすら返ってこない。
とりあえず、何か考えごとをしているのは明らかなので、話し掛けない方がいいかなと思い、私は課長のとなりに腰をおろし、ぼんやりと生けたばかりの花を見つめた。


するとしばらくして、ようやく課長が立ち上がった。
「ちょっと待ってて」と言って、リビングから出ていく。

そしてすぐに戻ってきたのだけど……その手には、結婚式でもらってきたブーケより更に大きな――花束が。


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