強引上司の溺愛トラップ
「う、うん、もひろんっ」
無駄にテンパって、声も裏返ってしまった。
まあここで『嫌だよ』とか『ダメだよ』なんて答える人は普通いないけど、それでも一島くんは、かわいい笑顔で「ありがとうございます」と言って、私の隣に並び、エレベーターを待つ。
ああ、何を話せばいいんだろう。
こんな時に限ってエレベーターはなかなか来ないし、ふたりきりだし。
私、指導係なのに、雑談すらままならない。
こんな人が指導係なんて、って思われちゃう……。
どうしよう、と悩んでいると、一島くんが口を開く。
「渡辺さんが俺の指導係になってくれるんですよね?」
「え? う、うん……」
「何年目ですか?」
「よ、四年目……」
「そうなんですね。ずっと融資課にいるんですか?」
「う、ん……」
「じゃあ融資はベテランですね! 頼もしいです!
」
……あ。私が話しやすいように答えやすいように話してくれてるんだ、ってすぐに分かった。
異動してきたばかりの新人の子にこんなふうに気を遣わせるなんて……。
無駄にテンパって、声も裏返ってしまった。
まあここで『嫌だよ』とか『ダメだよ』なんて答える人は普通いないけど、それでも一島くんは、かわいい笑顔で「ありがとうございます」と言って、私の隣に並び、エレベーターを待つ。
ああ、何を話せばいいんだろう。
こんな時に限ってエレベーターはなかなか来ないし、ふたりきりだし。
私、指導係なのに、雑談すらままならない。
こんな人が指導係なんて、って思われちゃう……。
どうしよう、と悩んでいると、一島くんが口を開く。
「渡辺さんが俺の指導係になってくれるんですよね?」
「え? う、うん……」
「何年目ですか?」
「よ、四年目……」
「そうなんですね。ずっと融資課にいるんですか?」
「う、ん……」
「じゃあ融資はベテランですね! 頼もしいです!
」
……あ。私が話しやすいように答えやすいように話してくれてるんだ、ってすぐに分かった。
異動してきたばかりの新人の子にこんなふうに気を遣わせるなんて……。