強引上司の溺愛トラップ
私がそう言うと、神くんも「そっか」と頷いてくれた。


「そういうことなら、俺はやっぱ『妹の方』を応援しないとな」

「え、妹の方って? 他に誰か応援する人がいるの?」

「いや」

「?」

どういうことなんだろう。今日の神くんはよく分からない。


だけど。

「頑張れよ。応援してるからな」

笑顔でそう言ってくれて、やっぱりいいお兄ちゃんだな、と思った。



そして、立ち上がって自分の部屋に戻ろうとする神くんを、私は引き止めた。


不思議そうな顔で振り返る神くんに、私は言った。

「あ、あのね。


……前髪切ってほしいんだ」
< 56 / 179 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop