強引上司の溺愛トラップ
「あれっ、渡辺さん! 前髪切ったんですか!」

一島くんが私に気付いて、パッと笑顔でそう言ってくれた。


いつもの明るくかわいい笑顔だった。私が大好きな、一島くんの笑顔。



でも、ときめいて動揺するよりも、そのまま本当に硬直しそうになって、



「……う、うん」


……と返すのが精一杯だった。




「コンタクトにもしたんですね。凄く良いと思います!」


一島くんはそうも言ってくれたけど。




……その言葉が聞きたくて、勇気を出して自分を変えようとした。

前髪を切ってもらって、コンタクトにして。


そして、期待通りの言葉が聞けた。こんなに嬉しいことはない。だけど。





……そっか。一島くん、彼女いるんだ。


って、当たり前だよね。明るくてカッコよくてやさしくて。こんなに素敵な人なんだもん。
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