強引上司の溺愛トラップ
おはようございます……と、いつもより小声の挨拶で、周りを伺いつつ、こっそりと営業室に入る。
課長は、既にデスクで仕事を始めているのが見えた。
「おはよう、ナベさん。何でそんな不審者みたいな行動してるの?」
後ろから係長さんに声を掛けられ、思わず体がビクッと震えた。
不審者。確かに今の私はそう見えるかもしれない。いつも通りの営業室に入るのに、やたらキョロキョロして、極力気配を消しながら、忍者のようにソロソロ歩いてるから。
……それもこれも、課長と顔を合わせ辛いからです。
「おはよう」
「ひええ!」
……突然、営業室内に私の声が響き渡った……。