強引上司の溺愛トラップ
「え、全然いいですよ、それは」

「どうしても二人きりになりたかったから」

「……っ」


……私は、この状況を出来るだけ『会社の上司との付き合い』と意識するようにしていた。
課長は私に好意を寄せてくれているから誘ってくれたのにそんな風に考えるのは失礼かもしれないけど……そうしないと、課長を変な風に見てしまいそうで。


でも、今。課長のまっすぐな言葉とまっすぐな瞳に、思わず、ドキッとしてしまって……。



「あ、ごめん。困らせた?」

「い、いえ……」

「あのさ」

「はい」

「今日、避けられなくて良かった。ちゃんと来てくれて、ありがと」


……ヤ、ヤバイ。また、ドキッと……してしまった。

そんな嬉しそうな顔で、ありがとうなんて言わないで……いつもの課長とギャップがありすぎて、胸がドキドキしてしまいます。


……そう言えば。
いくら『私は良いんですけど』と答えてしまっていたとは言え、課長とこうして飲みに来ることに少しでも抵抗があったのなら、いくらでも理由をつけて断ることが出来たはずだ。


……あの日の合コンだってそう。

いつもだったら、男性が来る集まりなんて怖くてなるべく断っていた。
でも、素敵な出会いがあるかもって思って。
私も恋愛がしたかった。理想の恋がしたくて、だからあの合コンには参加したんだ。


……私が今ここに来てる理由。

もしかして私、



課長と恋がしたいと思ってる――……?
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