強引上司の溺愛トラップ
突然、ぎゅ……と、後ろから課長に抱き締められる。


え、え、これは一体どういうシチュエーション⁉︎


……まだ一緒にいたいとか、そういうことを思ってくれているのかな?

だ、だけど付き合ってもいない人とお家の中で一緒に過ごす訳には……!


でも、抱き締められているのに嫌な気分はしていない自分がいた。苦手な男性にこんなことされているというのに。しかも相手は会社の上司なのに。


……違う。課長だから、嫌じゃないんだ。それだけは分かった。



……分かったんだけど。




「うっ……」

「課長? 課長!」


どうやら、私が想像していたような展開ではなかったみたいだ。
課長は本当に具合が悪くて倒れかかってきたみたいで、自分の力で立てていない。


ど、ど、どうすればいいの⁉︎救急車……はやり過ぎだよね?部屋の中に入ればマシになるかもしれないけど、この場合、課長の部屋に、私も付き添わないとだよね……?




……そんなこと言ってる場合じゃないよね‼︎



「課長! 部屋まで一緒に行くので、もう少し頑張ってください!」


私は課長の身体を支え、フラつく課長にマンションのオートロックを何とか解除してもらうと、一緒にエレベーターに乗り、部屋の前まで到着した。
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