やっぱりキミを攻略してみせます!
『ただいまー…』
いつもは綺麗に靴揃えるけど、なんだかそんな気力もない。
「莉央おかえりなさ〜い!」
リビングの奥からお母さんの声と、私の大好きなハンバーグの匂いがする。
『今日ご飯いらないから』
と言うと、お母さんは驚いた声で何かあったのと聞いてきたから、盛大に無視して2階に上がった。
電気をつけると、沢山貼られた大好きなキャラクター達のポスターが出迎えてくれる。
小さなため息をつき、ベッドにダイブした。
『ラブ♡アイドルでもやろうかな。』
箱を開封し、ディスクに指紋がつかないように慎重に取り、ゲーム機にはめ込む。
真っ暗な画面から見える私の顔は、落ち込んでる風に見えた。
今からたくさんのイケメンに会えるっていうのに、
イマイチ乗り気にならない
『んんん、』
あーもう!もう前髪くんの事は諦めたいのに、
さっきから頭から離れなくて…
だんだんゲームの中の会話が進んでいくのに、頭の中は前髪くんの事しかなくて、
『どうすればいいんだろう。』
流れていく会話を聞き続けていると、最初の選択が出てきた。
“攻略する”
“諦める”
ゲーム機に映る2つの選択肢、軽快なBGM
『私は、』
私は2つの選択肢を見つめ続けた。
ゲームのように上手くいかなくて、選択肢は山のようにあるのに、
頭の中が真っ白になった。