イノセントラヴ～不実な社長と契約結婚～
20年前と言えば、足許を支える大規模なインフラ整備が行われた全盛期の時代。
新たなインフラの一環で群馬に巨大なダムが建設されたのか。


「元々、群馬県は慢性的な財政赤字に苦しんでいた。国の公共事業に伴う費用の一部を負担する直轄事業負担金だって負担するコトが困難な状況だった。それ知っていた総理は自ら知事に巨額の賄賂を贈り、それを負担金にさせたが、ダム建設に伴う費用は見積もった額よりも巨額の費用を要した。
その時代はインフラ整備全盛期。総理はそれを逆手に取り、大規模な公共事業費の改ざんを行わせ、巨額の金をダム建設に投資したんだ」

総理の権限を使い、事業費の水増しを行なったのか。

莉人の説明で国の重要機密が明らかになった。

「巨額の金がつぎ込まれたダム建設だが、土地買収は地元住民の反発で大幅に遅滞した。ダム建設の計画にも多大な影響を及ぼした。その土地買収のプロジェクトリーダーが俺の父親だった。
国は我が社に圧力をかけた。先代の会長の指示の元、父は反対住民を金で懐柔し、金でも首を縦に振らない住民はプロの殺し屋を雇い、事故に見せかけて殺し、強引に土地買収を完了させた」


莉人の苦渋の表情に心を痛める。


「全てはダムの水の底に隠ぺいされたが、それを暴こうと動いたのが、芦沢兄妹の父親だ」


「芦沢の父親もプロの殺し屋に事故に見せかけて殺されたのか・・・」


来亜が言っていた言葉は真実。







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