イノセントラヴ～不実な社長と契約結婚～
「すべての元凶は今の総理の父親だ。総理だって20年前なら成人していたはず。
父親の悪行を存じていたと思う」
苦し紛れの言葉だけど、やりきれない思いで俺の心ははち切れそうだった。

「存じていましたよ。総理は父のやり方に反発して、抵抗しましたが。
全て実行されてしまいました。総理だって苦しい立場でした」

「莉人に全部くれてやるさ」

「周防社長・・・」

「菜穂とはどんな顔をして接すればいいのか分からない・・・」

俺が闇雲に求めたデータと共に海の底に沈めてしまえばいいが。

菜穂の顔を見れば、罪の意識が溢れてしまう。


あんな男。
父親だとは思いたくないが、紛れもなく俺の父親で。

「何処に行きますか？」

「俺の居場所なんて何処にもない」

「それは俺も同じ」


「お前は総理の元に帰ればいいじゃないか・・・」

「俺、秘書官は辞めるつもりです。
秘書官は民間出身の俺には向いていませんでした。それに、俺の父親は犯罪を犯し、今服役しているんですよ」

柊は軽い口調と言うが、瞳は寂しげだった。

「オフィスに泊まるか・・・」

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