イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
俺は無人のオフィスで柊と共に泊まった。

「寝袋とは用意周到ですね」

赤字の会社を立て直したい、俺の存在を無視する会長達に認めて貰いたい一心で夢中で仕事に没頭した。

「社長就任当時は良くオフィスに泊まったんだ」

「他の周防家の人達は分かりませんが、莉人は貴方を次期当主として認めていますよ」


莉人と俺は同じ穴の貉。
俺が周防家に来なければ、莉人が次期当主になるはずだった。


俺達は社長室のフロアで寝袋に包まり、横たわった。

「秘書官を辞めて、どうするんだ?柊」

「…起業する岩佐さんの元でコンサルの仕事をしようと思います」

「岩佐さん…独立するのか?」

「ええ」

「でも、貴方さえ良ければ、最後まで香港のホテル買収はサポートさせて頂きますよ」


彼の有能さは認めている。


「このコトは二人だけの秘密にしてくれ」

「周防社長がそう言うなら、俺は何も言いませんよ」

菜穂お前は本当に俺を愛してるのか?

俺はお前を愛してる。

柊の口からではなく、お前の口からハッキリとその言葉を訊きたい。






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