イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
「結婚なんて出来ない。本気で結婚なんてすれば、周防家の当主にはなれない。周防家から追い出されるかもしれないぞ!悠真」

「それでいいんだ」

俺は全てを捨てるつもり。
周防家の人間でなくなれば、心の中に刺さった罪の棘がとれる。

「俺は菜穂と幸せになりたい」

「そこまで本気なのか…悠真」

莉人は見合い写真を奪い返し、ブリーフケースに戻した。

「見合いはどうする?」

「見合いなんて…する気ない。お前は所詮、先代の会長の愛人の子」

「莉人・・・」

「周防家を潰せないと分かれば、去るのか・・・」

「俺さえ居なくなれば、お前が周防家の当主になれるんだ。莉人。お前なら親戚連中は万々歳で喜ぶだろう」

俺は不要な人間で、ずっと疎まれて来た。

莉人は望まれた人間で、当主としての器があると思う。

「そうだ。お前が居なくなれば、俺が当主になる。
でも、俺の父親が犯した罪はお前の父親の罪でもある。
お前の尻拭いなんて御免だ」

莉人は激怒して、社長室を飛び出してしまった。


「莉人!!?」

「俺が追います。周防社長」

俺は倭人に莉人を任せた。



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