イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
時刻は12時を回っていた。
莉人を追い駆けた倭人は戻って来ない。俺は一人で仕事をした。
来亜のデスクに目を遣ると寂しいキモチが湧き上がる。
どんな方法なら、俺と菜穂は上手くいくのだろう。
彼女を腕の中にずっと言いたかった言葉。
「ただいま戻りました」
ノックと共に倭人が右手に黄色い風船、左手には弁当屋の袋を持って入って来た。
「お昼、まだでしょ?」
「気が利くな。莉人はどうした?」
「莉人も情緒が不安定な様子。でも、心はいつも周防社長を気に掛けています。それだけはお忘れなく」
倭人は穏やかに笑い、弁当の入った白い袋を応接セットのテーブルに置いた。
「その風船は?」
「広場のベンチで莉人と喋っていたら、ウサギの着ぐるみが寄って来てくれたんですよ。
菜穂さんにでもあげて下さい」
「菜穂だって…風船貰って喜ぶ年じゃないぞ」
倭人が風船の糸から手を離すとそのまま天井に向かって浮き上がっていった。
風船は天井に磁石のようにくっつく。
「仕事が終わる頃には空気が抜けてしぼんでいるな」
倭人の余興とも取れる行動に笑った。
「お昼を食べましょう」
莉人を追い駆けた倭人は戻って来ない。俺は一人で仕事をした。
来亜のデスクに目を遣ると寂しいキモチが湧き上がる。
どんな方法なら、俺と菜穂は上手くいくのだろう。
彼女を腕の中にずっと言いたかった言葉。
「ただいま戻りました」
ノックと共に倭人が右手に黄色い風船、左手には弁当屋の袋を持って入って来た。
「お昼、まだでしょ?」
「気が利くな。莉人はどうした?」
「莉人も情緒が不安定な様子。でも、心はいつも周防社長を気に掛けています。それだけはお忘れなく」
倭人は穏やかに笑い、弁当の入った白い袋を応接セットのテーブルに置いた。
「その風船は?」
「広場のベンチで莉人と喋っていたら、ウサギの着ぐるみが寄って来てくれたんですよ。
菜穂さんにでもあげて下さい」
「菜穂だって…風船貰って喜ぶ年じゃないぞ」
倭人が風船の糸から手を離すとそのまま天井に向かって浮き上がっていった。
風船は天井に磁石のようにくっつく。
「仕事が終わる頃には空気が抜けてしぼんでいるな」
倭人の余興とも取れる行動に笑った。
「お昼を食べましょう」