イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
前菜は新鮮な野菜をモザイク風に寄せたテリーヌにトマトのゼリーがかかっていた。
「美味しい」

「このワインも飲めよ」

周防社長は空のワイングラスに赤ワインを注いだ。

そして、私に飲むように勧める。

「私は・・・」
「飲めないのか?一杯くらいいいだろ??」

社長の優しい微笑に負け、私は生まれて初めてアルコールを口にする。

葡萄の芳醇な香りが口内一杯に広がって、テリーヌの味と合う。

「美味しいです」

「そうか・・・」

周防社長も上機嫌にグラスのワインを飲み干した。

次々と運ばれて来るメニューを堪能し、メインディッシュの肉料理が運ばれて来た。

肉の上に乗ったフォアグラ、下に敷かれた赤黒いバルサミコソースの濃厚な味に口が蕩けそうだった。

「こんな美味しい料理…初めてです」

「やはり、兄妹だな。似てるな」

「えっ?」

「こっちの話だ」






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