イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
「君は頭を強打している。一緒に病院に行った方が良かったんじゃないのか?」

左京さんは私の後ろに居た吹雪さんに言った。

「大丈夫です」

「吹雪さん、頭打ったの?」

頬の青あざも気になった。

「頬の青あざは?」

「莉人様にやられたと言うか…頭もその時の勢いで壁にぶつけました。そのまま、俺は気を失ってしまって。
俺を助けてくれたのが左京さんでした」


「そうだったの」

吹雪さんを殴った莉人さん。
その莉人さんの姿がなかった。

私達が結愛さん達に気を取られた隙に逃げてしまったようだ。


「莉人さんは?」

「さあっ」

吹雪さんは首を傾げる。


「俺も結愛達の元に向かう。失礼するよ」

左京さんも停車させていたグレーの車に乗り込んだ。

残されたのは私と吹雪さん。吹雪さんとは、出て行って以来まともに話をしていない。


「俺は莉人様の暴走を止められなかった」

「そんなコトないですよ」

私は落ち込む吹雪さんを励ました。悠真さんを介し、吹雪さんの私に対するキモチを知った。
でも、私は吹雪さんの想いに応えられない。

悠真さんのキモチにも。


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