イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
周防社長は綺麗に肉をナイフで切り、フォークで口に運んだ。


後はコーヒーとデザートを残すのみ。

私は1杯のワインですっかりほろ酔い気分で、頭が逆上せたようにボーッとしていた。

「3億の返済方法だけど・・・」

「え、あ・・・」

忘れかけていた現実が私の酔いを一気に醒ました。

「それは勿論、少しずつ返済します。それではダメですか?」

バイトをクビになった私には返済する当てはない。


「バイトをクビになったお前に当てはあるのか?」
一番痛い所を突かれて、言葉が出て来ない。

「明日にでも…次のバイトを探して・・・」

「俺と結婚して欲しい」

「冗談ですよね」

「冗談でプロポーズはしない」

周防社長の切れ長の瞳は真剣だった。

「お前が俺の妻になれば、3億はチャラにしてやる」

「わ、私が周防社長の妻?」

棚から牡丹餅。

いや、玉の輿婚。

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